■
病院はどのようにして収入を得ているのか。
厚生労働省によって診療報酬の額が決められています。これが診療報酬点数表です。
Aという病気のBという手術はC点など細かく規定されていてこれが記載されている本はとても分厚いものです。文字通り点数で表示されるため(1点10円)病院経営は「点取りゲームだ」という人もいます。少し専門的な話になりますが、診療報酬点数表の中身を大きく分けると、内科や外科などの医療に関する医療点数表、歯科=歯科点数表、調剤点数表の3つです。
その他に、保険医薬品に関する薬価基準、保険医療材料に関する材料価格基準があります。この5つと医療技術などに対する保険による公定価格が使用した薬や医療材料に対する保険による償還価格となります。
医科点数表は、基本診療料と、特掲診療料の2層構造となっています。
診療報酬は出来高はライを原則としていて、①基本診療料にオプション部分の②特掲診療料を加算するかたちで構成されます。
①基本診療料
入院であれば外来分と入院分に分けられ基本的にそれぞれ一日に一回算定。
初診料は270点が基本で6歳未満の場合はそこに75点が加わる。
また休日・夜間加算でさらに点数が加わる。
➁特掲診療料
オプション部分です。基本診療料にこの特掲診療料が加算されて患者さんが窓口で支払う自己負担分がこの医療費をもとに1~3割の間で支払うことになる。
特掲診療料は薬の説明、病気に関する生活指導を点数化した医学管理等をはじめ
検査・手術・病理診断など細かく分かれている。同時に複数の検査をすれば併せて診断できる。診療報酬は患者7:看護師1の割合で分かれている。
2年に一度の診療報酬改定⇒国の医療政策の方向性と合致した項目が新設、もしくは点数の引き上げ、引き下げが行われ、医療機関に対してインセンティブ=経済誘導がなされる。
例えば20年前は平均在院日数は40日であったものが、今では19日に減っている。このことは急性期病院と慢性期病院に機能分化し、かつ急性期病院が平均在院日数を減らせば収入があがるように「経済誘導」した結果です。
日本の医療保険制度とは
病院経営にとって、保険制度についての理解は必要不可欠です。
日本の保険制度は皆保険制度といって、国民すべてが何らかの医療保険に入る仕組みになっています。
ただ近年では医療費が財政圧迫になっている状態で、制度を維持するために
保険適用に制限をかけたり、高齢者の負担の仕組みを変えています。
おおまかに医療費は
医療費=保険料+税金 で その制度を維持しています。
本日は医療保険についてお話します。
保険料とは、4者によつ関係で成立しています。
4者とは治療を受ける加入者(患者・家族)、
加入者から保険料を受け取り、保険証を発行する保険者、
保険者よりお金を受け取り、適正な保険適用か審査をする支払基金・国保連合会、
そして治療を行い支払基金・国保連合会から診療報酬を支払われる医院です。
保険料を徴収して管理をする者を保険者といいます。保険者は加入しているひとではなく、保険料を負担・管理する者のことです。
(1)社会保険
社会保険とはサラリーマンや個人事業主に雇われている人が加入する保険です。
保険者には同業種の大会社が集まって作る健康保険組合(組合健保)、中小会社が加入する全国健康保険組合(協会けんぽ)、公務員が加入する共済組合などがあります。
社会保険は、一定の要件に該当することで強制加入となります。
医療費が7割、自己負担が3割です。
またこの医療費とは、医院側からは診療報酬と呼ばれ、
自己負担は医院側からは窓口収入と呼ばれます。
(2)国民健康保険
国保とは社会保険に加入しておらず、かつ生活保護を受けていない
個人事業主や退職者が入る保険です。
保険者は市区町村です。
加入者が医院で保険証を提示すれば医療費の7割を保険者、自己負担は3割です。
また生活保護を受けてる人は、公費負担医療制度に加入することで医院での自己負担が税金で助成されます。
(3)後期高齢者医療(2008年 8月~)
75歳以上の高齢者と前期高齢者(65歳~74歳)で障害のある人が対象で、
後期高齢者医療に加入している人は医院で保険証を提示すれば医療費の9割を保険者が負担するため自己負担は1割です。
以上が主な保険です。
加入者が支払う保険料は収入によって計算されますが、それだけでは財源不足になるため、他の医療保険制度
に加入している人たちから支援金をもらっています。
また日本は保険医療機関に指定された医院は全国どこでも治療を受けれます。これを
「フリーアクセス」といいます。
このとき医院は一か月分をまとめて支払基金・国保連合会に請求を出します。
入金は2か月後になりかつ診療報酬は減額されることがほとんどです。 また患者が退職前の保険証を提出すると診療報酬の請求書が差し戻されます。この場合には退職後の保険証を確認して再度請求するため、入金時期が遅れます。
つまり医院は保険者が負担する7割のお金が予定通り、全額入金されるとは限りません。しっかりと資金繰りに余裕を持つことが必要となります。